脳科学的人間像 ライフサイクルの中のウェルビーイング
紹介
ウェルビーイングを保持し、自己実現をめざす脳の仕組みを
人のライフサイクルとの関連から、わかりやすく解説。
◇恒常性を保とうとするホメオスタシスと、予測し変化するアロスタシス。
二つの生理的原理のせめぎあいが、人間の「良い状態(well-being)」をつくる。
◆母親の胎内から超高齢期まで──各世代ごとのウェルビーイングのあり方と、
それぞれに正負の役割を持つホメオスタシス/アロスタシスの作用を解説。
◇ポジティブなアイデンティティ、承認への欲求、そして自己実現。
全人間および個々人の心の欲求に、脳はどう対処し、その達成をめざすのか。
◆人の幸福に関わる身体・心理・社会の領域に、「自然」を加えた新たな視点を提唱。
目次
1 ホメオスタシスとアロスタシス
2 発達過程の統合と脱統合の絡み合い
3 パーソナリティの発達
4 ライフサイクルの中の課題
5 ライフサイクル初期の負のアロスタシス
6 アイデンティティvs 役割の混乱
7 ドーパミンによる相反的なアロスタシス
8 心理的ストレスの身体化反応
9 実践としてのウェルビーイング
前書きなど
ウェルビーイングというと満たされた状態、幸せになることということでなんとなく理解されているように思われます。しかし、生理学者として、また脳科学者としてこのテーマを考えるとき、人の状態は発達や年齢とともに変化するので、ライフサイクルという時間軸を考慮しないとウェルビーイングを理解することは難しいと思いました。また人の多様性を考えると、個々人の初期状態も異なるわけですし、ウェルビーイングの人生の中の軌跡も当然違ったものになると思われます。そこで、ウェルビーイングのライフサイクルを脳科学的にとらえなおし、「脳科学的人間像」として提示しようと考えました。
(「はじめに」より)
著者プロフィール
虫明 元 (ムシアケ ハジメ) (著)
東北大学大学院医学系研究科生体システム生理学分野教授を経て、東北大学名誉教授。
八戸看護専門学校校長、東北大学学術研究員。
1958年生まれ。東北大学医学部大学院卒業。医学博士。専門は脳神経科学。
ここ数年は、即興再現劇を用いた学生主導的な学びの開発にも取り組んでいる。
著書『学ぶ脳─ぼんやりにこそ意味がある』(岩波科学ライブラリー)、『ひらめき脳』(青灯社)
共著『認知症ケアに活かすコミュニケーションの脳科学二〇講─人のつながりを支える脳の仕組み』(共同医書出版社)、『コミュニケーションと思考』(岩波書店)、『学習と脳─器用さを獲得する脳』(サイエンス社)、『前頭葉のしくみ─からだ・心・社会をつなぐネットワーク』(共立出版)。
虫明 元(著)
発行:青灯社
四六判
価格 2,700 円+税 2,970 円(税込)
ISBN 978-4-86228-136-4
ISBN 13 9784862281364
ISBN 10h 4-86228-136-2
ISBN 10 4862281362
出版者記号 86228
Cコード C0011
0:一般 0:単行本 11:心理(学)
発売予定日2025年6月27日

