著者:宮原 修ISBN:978-4-86228-116-6 C0082
定価2000円+税 248ページ
ジャンル:[英語・英語教育]
発売日:2021年4月8日
紹介
型にはまった英語授業は役立たない。「日本人英語」でもいい。
英語パーク(=公園)でプレイするように学ぼう!
従来の「暗記・引き出し型」のトレーニング授業は、使えない英語と英語嫌いを生む。真のコミュニケ―ション能力の向上をはかる「プレイ型英語教育」を提言。
・英語の「聞く」「話す」は大事だが、大学入試や共通テストに入れるべきではない。
・小学校英語の必修化はよいが、英語嫌いをつくる「教科化」はやめよう。
学習者一人ひとりの英語コミュニケーション能力を育てる「地球市民英語」とはどんなものか。文法・発音の核心(コア)を理解しつつ、米英標準の画一的なモデルではない、世界の多様な話者に対応する英語を実例で解説。
入口の小学校からそれぞれの目標とする出口まで、「英語パーク」で英語嫌いを生まず、世界中の人々と交流できることをめざす「地球市民英語」を身に着けよう!
目次
第Ⅰ章 大学入試に「スピーキング」を入れるべきか
1 大学入試「共通テスト」の「英語」に「話す」も「聞く」も入れるべきでない。
2 日本人はどんな英語を目指すべきか。──「地球市民英語」を
第II章 「小学校英語(外国語)教育」から考える
1 「研究開発学校」での「小学校英語(外国語)教育
2 千葉県成田市立成田小学校での教育実験
3 小学校英語教育」への批判と「効果の評価」について。
4 「子どもの言語習得」について──英語と日本語の“距離"
第III章 日本の英語教育はどうあるべきか
1 「平泉・渡部論争」から考える。
2 「臨教審答申」から考える。
3 「小学校英語」の「教科化」は適切か
4 「どうして英語をやるんですか?」
著者プロフィール
宮原 修(みやはら・おさむ)
教育研究家。1947年仙台市生まれ。
東京大学大学院学校教育学科博士課程満期退学後、お茶の水女子大学などで教授、大学院教授などを歴任。その間、教育方法学・教育課程論の研究・教育に従事した。
退職後は教育研究家として、教育について総合的・俯瞰的観点から研究している。
著書 『教育方法──授業を見る眼を養う』(国土社)、編著『新学習指導要領 学校・授業づくり実践シリーズ全5巻』(ぎょうせい)ほか
「はじめに」より
本書では、「これからの日本の英語教育はどうあるべきか」を考えるために、学校での英語教育の“出口”であり、同時に大学への“入口”でもある大学入試の「共通テスト」に、英語の「話す」「聞く」を入れるべきか否か、を考えます。現在、日本ではすべての中学生が1年生の時から3年間、英語を学ばせられています。そして日本人の約97%が高校で3年間英語を学ばせられています。日本人は6年間何のために英語を学ばされているのでしょうか。そして日本人の5割以上が大学入試で英語を受験します。英語は単なる“受験のための道具”なのでしょうか。
他方、5割くらいの日本人は高校を卒業して社会人となったり専門学校等に行きます。彼らにとって高校卒業は6年間の英語教育の“出口”です。彼らにとって6年間の英語教育はどういう意味を持つのでしょうか。
その英語教育の“入口”を、中学校からでなく小学校から始めようとする動きがあります。文科省はすでに2020年から、小学校5年生、6年生に「教科」としての「英語(外国語)科」を学習指導要領に新設し実施に移しています。これは適切な動きなのでしょうか。熟慮に基づく判断なのでしょうか。そのあたりのことも本書で検討したいと思います。