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Seitosha Publishing

2019年5月のエントリー 一覧

著者:泉谷閑示9784862281067.png
ISBN:978-4-86228-106-7 C0011
定価1600円+税 212ページ
ジャンル[心理・哲学]
発売日:2019年5月30日


紹介
大自然の叡智を備えた人間の「心=身体」。
だが近現代の人間は「頭」と理性でその豊潤な泉にフタをして生きてきた。そして様々な心身の不調が生まれた。
心に由来する「深い感情」が抑圧され、「浅い怒り」が撒き散らされる現代社会には孤独への恐れ、同調過多のムラ社会、何をすればいいか分からない悩みといった生きにくさの要因が蔓延する。
規則正しい生活への信仰や「大通りを行くこと」を疑い、自分自身の内面と向き合って「にぎやかで豊かな孤独」や「深い怒り」の声に耳を傾けよう──。

医師であり音楽・舞踏にも造詣の深い著者による、「心の復権」をめぐる多彩な小論集。


目次
Ⅰ 「頭」の支配と「心=身体」の悲鳴
Ⅱ 現代を生きる難しさ
Ⅲ 「心=身体」の英知
Ⅳ 「ムラ」からの自由
Ⅴ 「意味」を求める
Ⅵ ロゴスの危機


著者プロフィール
泉谷 閑示(いずみや・かんじ)
1962年秋田県生まれ。東北大学医学部卒業。精神科医。
東京医科歯科大学医学部附属病院、神経研究所附属晴和病院等に勤務したのち渡仏、パリ・エコールノルマル音楽院に留学。
現在、泉谷クリニック(東京・広尾)院長。クライアントの個性を尊重し、ポテンシャルを最大限に引き出す精神療法を専門に行っている。
舞台演出家、作曲家としても活動。
著書『「普通がいい」という病』、『反教育論』(以上、講談社現代新書)、『あなたの人生が変わる対話術』(講談社+α文庫)、仕事なんか生きがいにするな』(幻冬舎新書)、『クスリに頼らなくても「うつ」は治る』(ダイヤモンド社)、ほか多数。

 

著者のことば(「おわりに」より)
 これまで私が一貫して唱えてきたことは、大自然の叡智を備えた「心=身体」の声に耳を傾け、その導きを正しく受け取ることの大切さです。近現代の人類は、たしかに「頭」の理性の働きによって文明の飛躍的進歩を成し遂げてきました。しかし、それが私たちをどれだけ幸せにしたのかと考えてみると、その進歩を手放しで喜ぶわけにもいきません。
 「頭」を過度に重視し「心=身体」をないがしろにし続けた結果、現代人には様々な心身の不調が増加してきていますし、これに対する現代の医療もまた「心=身体」を軽視した皮相的・実利的な方法論が主流で、本質を見失った閉塞状況に陥っています。
 また、「心=身体」とのつながりを失った人間たちが社会の主要なポジションを占めるようになって、「ロゴス」なき言動が我が国のみならず、世界中のあちらこちらで力を持ちつつあります。
 このように、「心=身体」を無視して「頭」の欲望が肥大化している昨今の風潮は、大げさに聞こえるかもしれませんが、今後の人類の命運すら左右しかねないほどに、重大な問題ではないかと思います。そんな流れの中で私たちに今求められているのは、ひとりひとりが人間の精神構造というものについて理解を深め、流布される非人間的な言動に惑わされることなく、人間らしい社会を死守することではないかと思うのです。
 本書では、日常生活にまつわる身近なテーマから、教育やしつけの問題、いわゆる新型うつ病の問題、引きこもりの問題、さらには芸術や文学、哲学など多種多様のテーマを扱っています。