著者:小野寺誠
ISBN:978-4-86228-032-9 C0026
定価1,800円+税 320ページ
ジャンル[旅行記・エッセイ]
発売日:2009年7月8日
紹介
さすらいのバックパッカー68歳の自由と虚無、そして再会と別れ。精彩あるタッチで描いた旅情が読む人のこころに響く。
極北ラップランドにおける厳冬のトナカイ狩りや北欧ジプシーとの暮らし、それらの体験記で名をはせたバックパッカー、22年ぶりの書き下ろし。
陸路中国から中央アジア、コーカサス、トルコ、中欧を経てフィンランドへ。帰路、モスクワに立ち寄り、シベリア鉄道を使っての帰還。列車とバス、船を乗りついだバックパッカー68歳、さすらいの記。
(本文より)イコン画がたくさんある。これらの絵には、画家の署名がない。描くことが、祈りだ。わたしの旅も、何かへの祈りかもしれないとふと思う。旅が困難であればあるほど、この身が浄められるような気分になることがある。自分の生きてきた足跡があまりにろくでもないので、肉体的な辛さを罪ほろぼしのように感じるのかもしれない。身勝手な自由と解放の感覚、それも悪くない。しかし神をもたないわたしの場合、祈りの旅の先に見えてくるのは死しかない。そしてだれとも分からない無記名の墓標の男の死も、けっして悪いものじゃない。
目次
1 日本、韓国、中国
2 中央アジア
3 イラン、コーカサス諸国
4 トルコ、中欧
5 フィンランド
6 ロシア、シベリア鉄道
著者プロフィール
小野寺誠(おのでら・まこと)
1939年3月東京・杉並生まれ。1967~76年 北極圏ラップランドを放浪し、ラップ族と行動をともにする。
1975年 ラップランドをテーマに第1回トリエンナーレ国際写真展第1位受賞(スイス)。1977~80年 ジプシー民族社会で暮らす。
1981~85年 フィンランド民族音楽のペリマンニ楽師として活動。
著書に『ポエムS65』(詩集)、『求む天国』(浪曼)、『極北の青い闇から』(冒険ものブックガイドとして本多勝一氏推奨)、『ジプシー生活誌』(国際ジプシー学会で木内信敬教授により公表)(以上、NHK出版)、
『イサ・パッパと2匹の小悪魔』(NHK「私の本棚」12回連続放送、文化出版局)、『白夜の国のヴァイオリン弾き』(新潮社、講談社文庫)、『あの夏、フィンランドで』(NHK出版)『辺境へ、世界の果てへ』(青弓社)。