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Seitosha Publishing

2008年2月のエントリー 一覧

著者:山家悠紀夫
日本経済.jpgISBN:978-4-86228-020-6 C0033
定価 1,400円+税 216ページ
ジャンル[経済]
発売日:2008年 2月4日


紹介
<目からウロコの日本経済の現状分析>

ここ10年、経済格差が広がり、人々の暮らしがきびしくなってきた。自殺者も急増している。
一方、大企業は今日、空前の収益をあげているが、社員は豊かになっていない。
これはなぜなのか、いったいどう考えればいいのだろう。
一般に流布している見方は、「生活が苦しいのはグローバル化の影響で、日本経済を救うには構造改革や小さな政府が必要だ」というもの。
著者はこの通説を、真っ向から否定する。
暮らしがきびしくなったのは、労働市場の規制緩和等、構造改革の結果であり、構造改革こそが、家計の収入を減らし、その減額分を大企業の収益に移転する政策だったと、実証的に解き明かす。
小泉改革以来の経済政策を徹底的に批判し、暮らしを豊かにする政策を明快に提言する。


目次
序章 日本経済は大きく変わった
第一章 経済のグローバル化という神話

  • 第一話 人々の暮らしが厳しくなった、しかし、それはグローバル化のせいとは言えない、という話
  • 第二話 そもそもグローバル化とは何か、その特徴についての話
  • 第三話 中国の成長発展が日本経済停滞の因などというのはとんでもない説だ、という話
  • 第四話 グローバル化の時代にあっては国際競争力の強化が必要だというのは、全くわけのわからない説である、という話
  • 第五話 グローバル化の下で競争力を失う産業をどうするか、という話。あわせて、農業については特別な保護措置が必要である、という話
  • 第六話 国際競争力を大きく左右する為替相場、その現状には大いに問題があるという話、加えて、ドル暴落(大幅な円高)がありうる、という話
  • 第七話 世界を混乱させるお金の話。あわせて、グローバルスタンダード実はアメリカンスタンダード、という話

第二章 「構造改革」という神話

  • 第八話 「構造改革」の思想と政策は、一九九〇年代の長期不況が生んだ鬼っこである、という話
  • 第九話 「構造改革」は、経済界(とりわけ、財界)、そしてアメリカから大歓迎される政策であった、という話
  • 第十話 「構造改革」が不況をもたらした、現在も景気回復の足を引っ張っている、という話
  • 第十一話 「構造改革」の恩恵で企業は儲かるようになった、しかし、そのシワは人々の暮らしに寄せられた、という話
  • 第十二話 「構造改革」の下、人々の暮らしは厳しくなった、格差も拡大した、という話
  • 第十三話 「構造改革」は企業にとっても困った状況を生み出している、という話。あわせて、日本の経済社会全体としても困ったことになってきつつある、という話
  • 第十四話 「構造改革」はこれからどうなるだろうか、それは変わるだろうか、という話

第三章 「小さな政府」という神話

  • 第十五話 「簡素で効率的な政府を実現する」という目標がなぜいけないか、という話。合わせて、日本はすでに十分に「小さな政府」である、という話
  • 第十六話 なぜ「小さな政府」がいいとするのか、政府が説明するその理由についての話。あわせて、その理由はきわめて根拠薄弱である、という話
  • 第十七話 「小さな政府」は「(国民の自己負担の)大きな政府」をもたらし、人々の生存権 を侵す、という話。あわせて、それでも、「小さな政府」を目指すのはなぜだろうか、という話
  • 第十八話 社会保障サービスの「小さな政府」にしなくても財政再建は可能である、という話。あわせて、国民負担の増加は必要だが、消費税の増税はしなくてもいい、という話



著者プロフィール
山家悠紀夫(やんべ・ゆきお)
現在、暮らしと経済研究室主宰。1940年、愛媛県生まれ。
1964年、神戸大学経済学部卒業、第一銀行入行。第一勧業銀行調査部長、第一勧銀総合研究所常務理事調査本部長、同専務理事、神戸大学大学院経済学研究科教授を歴任。
著書『偽りの危機 本物の危機』『日本経済 気掛かりな未来』(以上、東洋経済新報社)『「構造改革」という幻想』(岩波書店)『景気とは何だろうか』(岩波新書)『「痛み」はもうたくさんだ!』(かもがわ出版)

 

What Genes Dan't Do
遺伝子.jpg著者:レニー・モス
訳者:長野 敬、赤松眞紀
ISBN:978-4-86228-019-0 C1045
定価3,800円+税 347ページ
ジャンル[生物学]
発売日:2008年2月1日


紹介
「遺伝子の世紀」を展望し、遺伝子観の見直しを迫る意欲作!

21世紀に入ってのバイオテクノロジーの発展はすさまじく、遺伝子についての研究成果(ヒトゲノム)が株式市場の巨額の資金を動かすまでになった。
しかし本書の著者は、遺伝子のみが生命体を形づくる唯一の源ではない、と強調する。
遺伝子の突然変異と直腸がんの関わりは、15%しか突き止められていない。特定の病気や一般に生命体の秩序は、遺伝子ですべてが決定されるわけではなく、そのつど臨機応変の細胞や細胞同士の行動によって形づくられるという。
細胞内の働きなど最新の分子生物学の成果をもとに、遺伝子やゲノムについての通念を根底から覆す最前線の考察。


目次
はじめに
第一章 遺伝子の起源
第二章 修辞法レトリックの生命と生命の修辞法
第三章 遺伝子には何ができないか
第四章 癌と遺伝――過程としての正常と異常
第五章遺伝子の後に


著者プロフィール
レニー・モス Lenny Moss(著)
1952年生まれ。
現在、エクスター大学教授、同大学ゲノムESRCセンターシニアフェロー。
生化学(カリフォルニア大学バークレー校)と哲学(ノースウェスタン大学)で博士号を取得。

長野 敬(ながの・けい)(訳)
生物学者、河合文化教育研究所主任研究員。
著書、『進化のらせん階段』(青土社)『生命の起源論争』(講談社)他

赤松眞紀(あかまつ・まき)(訳)
翻訳家。
共訳書『無脊椎動物の驚異』『ちょっと気持ち悪い動物とのつきあい方』(以上、R.コニフ著)『遺伝子の新世紀』(E.F.ケラー著)(以上、青土社)


まえがきより
本書の表題『遺伝子には何ができないか』は、哲学者ドレイファスの『コンピュータには何ができないか』を連想しつつ選ばれた。癌の原因が遺伝子の障害にあるという言い方は、コンピュータの不調の原因がシリコンチップの故障にあるというのと同様に、本質に迫らない。
著者は現代の遺伝子観を、遺伝子Dと遺伝子Pのつぎはぎ合成として鋭く衝き、特に癌の問題を「生命の技術的哲学」の立場から見直している。
著者モスが遺伝子DNAの情報的資源に加えて、細胞の動態や遺伝子産物の後成的な修飾を、同等の資格をもつ資源と見る立場は、単なる外野からの遺伝子還元論批判というのを超えて、これからの研究の主流にとっても示唆に富む提言となるだろう。